令和4年7月28日(木)に、探究科学科1年80名が生物班、地学班、歴史班、地理班の4班に分かれ、「立山実習」を行いました。天候が危ぶまれましたが、なんとか無事に予定通り実施となりました。教科書や資料だけでない学びを体験することができました。

【生物班】

生物班:美女平での観察

今年は天気にも恵まれ、美女平、室堂、弥陀ヶ原で、予定通りに自然観察を行うことができました。富山県自然保護協会の方に解説していただきながら五感を使って植物を観察し、優占する樹木の樹高計測や出現する植物の種類の記録等を行いました。また、各班が設定したテーマに沿って、環境に応じて変化させる植物の形態や、外来種の侵入状況などを調査したことで、立山の壮大な自然を再認識すると共に、自分たちが立山の自然を守るためにできることを考えるよいきっかけとなりました。

【地学班】

地学班:大転石の測定

降雨が心配される中、室堂を散策し立山の自然を観察しました。まずは室堂山。途中板状節理や、立山の基盤岩である白い岩石(花崗岩類)と弥陀ヶ原をつくる黒い岩石(安山岩質溶岩)を観察しつつ、室堂山展望台を目指しました。残念ながらカルデラはガスで覆われ全貌を見ることはできませんでしたが、浸食された台地を実感しました。その後水蒸気爆発でできたミクリガ池、噴気をあげる弥陀ヶ原火山等をじっくりと観察しました。今までとは違った視点をもつと、自然の見え方が変わることを学びました。その他にも、標高ごとの気圧を気圧計および気体の体積変化からの測定、大転石の大きさ測定を行いました。

【歴史班】

歴史班:立山博物館で学芸課長の説明を聞く

まず立山博物館で、常設展示「立山信仰の舞台」、「立山信仰の世界」と企画展「いざ、立山へ!―鉄道にみる立山観光―」を観覧し、立山の歴史、立山信仰や立山曼荼羅について、詳しく知ることができました。その後、曇り空の中でしたが室堂平を散策し、立山室堂や玉殿の岩屋など立山信仰に関連するところを実際に見学しました。人々の信仰心が自然と深く結びついていることを体感し、理解を深めました。「信ずる」とは何か、「信仰心」とは何か。「立山」を通して、これまであまり意識してこなかったことに思いをめぐらせ、改めて自分たちのあり方を考える機会となりました。

【地理班】

地理班:六九谷展望台からカルデラ内部を臨む

今年は、『崩れる 留める』をテーマに、許可がないと立ち入ることができない立山カルデラの内部へ行くことができました。立山砂防事務所から有峰有料道路経由で有峰材料運搬道路へ。ここからはバス内でもヘルメット着用です。跡津川断層の露頭を望遠し、六九谷展望台へ。1969年の集中豪雨による侵食によってできた谷だそうで、短時間での地形の変化に驚きました。立山温泉跡地で昼食をとったあと、泥谷砂防堰堤群を車窓から見学、さらに白岩砂防堰堤へ。この堰堤は1939年に完成した立山カルデラの基盤となる堰堤で国の重要文化財に指定されています。周囲の迫り来るカルデラの山並みと堰堤を流れ落ちる水による迫力に圧倒されました。資料で学んだことを現場で見ることの重要性を感じました。

 

事後研修として、翌日729日(金)に班毎に発表を行い、研修内容を共有しました。10月の文化祭では、事後研修で作成したポスターを展示する予定です。